気管支喘息の特徴
気管支喘息は、気管が慢性的に炎症を起こすことで、何らかの刺激によって気管支が狭まり、呼吸困難や咳、ゼーゼーいう喘鳴などの症状の発作が現れる疾患です。これら症状は夜間から早朝にかけて発症しやすい傾向があり、安静にして自然に改善することもあれば,治療を行なって改善することもあります.
運動誘発性喘息について
運動時に起きる喘息発作を運動誘発性喘息と言います。運動時は呼吸が多くなるため、冷たく乾燥した空気が多く器官に取り込まれ、その結果気道が冷やされて狭まることで喘息発作を引き起こします。
多くの場合は、20~30分後には回復するため治療の必要はありませんが、症状が激しい場合には治療薬が必要なこともあります。また、気道を少しでも冷やさないよう、マスクの着用や運動前のウォーミングアップ、発作止めの薬の吸入などを行なっておくと、予防することが可能です。
アスピリン喘息について
アスピリン喘息とは、アスピリンという薬やアスピリンと同じ作用のある薬を使用することで起きる喘息発作のことを言います。
アスピリンと同じ作用がある主な薬は、非ステロイド性消炎鎮痛薬というもので、一般的に解熱剤や鎮痛剤、風邪薬、痛み止めの湿布や塗り薬などに入っている場合があります。
小児ではあまり見られない喘息ですが、成人では喘息発作の原因の約10%がアスピリン喘息だという報告もあります。
喘息に症状が似た病気・移行しやすい病気
咳や痰が続くおもな病気 | 百日咳 | 発作性の激しい咳が2週間以上続きます。近年成人に多く見られます。 |
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マイコプラズマ | 高熱が出ます。もともと喘息がある場合は症状を悪化させます。 | |
結核 | 微熱が出ます。胸部レントゲン検査で鑑別できます。 | |
急性気管支炎 | 風邪やインフルエンザに誘引されて発症します。 | |
副鼻腔気管支症候群(SBS) | 慢性副鼻腔炎、慢性気管支炎、気管支拡張症を合併します。 | |
アトピー性咳嗽 | アレルゲンを吸引することで発症します。喉のかゆみ、痰を伴わない空咳などが起きます。 | |
胃食道逆流症(GERD) | 痰は出ずに、胸やけがあります。胃の治療をすることで改善します。 | |
後鼻漏 | 慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎が原因とされ、鼻水が気管に落ちて炎症を起こします。 | |
心因性咳嗽 | 小児に多い傾向があります。 | |
肺がん | 血痰が出たり、胸・背中に痛みが生じます。 | |
呼吸困難を伴うおもな病気 | 肺水腫 | 心機能が低下して起こります。喘息によく似た症状が出ます。 |
COPD | 主に喫煙が原因で発症します。咳、痰、息切れがあります。 | |
過喚気症候群 | ストレスなどが原因で発症します。過呼吸になります。 | |
喘息と合併しやすい病気 | 花粉症などアレルギー性鼻炎 | 花粉など季節性アレルゲンの増加する時期に発症します。喘息がある場合は症状が悪化します。 |
気管支喘息の検査
肺機能検査
肺機能検査を行うことで、1秒率の数値を測定します。1秒率とは、呼吸機能検査の項目の一つで、息を思い切り吸って一気に吐き出した時の最初の1秒間の空気量の割合のことで、気管支喘息の発作時にはこの1秒率が減少します。1秒率は、70%以上が正常とされます。
気道可逆性試験
気道可逆性試験とは、気管支喘息の診断や治療経過を行うために行う検査です。気管支喘息をお持ちの方は、発作がない時でも気管支拡張剤を吸入すると肺機能が改善します。気管支拡張剤(短時間作用型のβ2刺激薬)の吸入を行い、15~30分後に肺機能検査を行うことで、気管支喘息の判定を行います。
ピークフロー
ピークフローとは、息を思い切り吐いた時の空気の流れの速度(L/分)を測定する検査です。検査に用いる肺機能検査器具(ピークフローメーター)は、自宅で簡易的に使用することができます。
血液検査
血液検査では、アレルギーに関連のあるタンパク質(IgE)や好酸球という細胞の増加がないか、また、患者様がアレルギーを起こす原因のアレルゲンを特定します。
喀痰検査
喀痰検査は、痰の中の好酸球の増加の確認や、アレルギーに関連した物質特定するために行う検査です。
気管支喘息の治療法
気管支喘息の主な治療には、アレルギーによる気管支の炎症を抑える吸入ステロイド剤や抗アレルギー剤と、狭くなっている気管支を拡張させる気管支拡張剤(長時間作用型β2刺激薬やテオフィリン製剤)が併用されます。
治療によって症状が改善した場合には、2〜3か月間症状が安定していることを確認して薬剤の減量を検討します。薬は自己判断で中断しないよう、注意しましょう。
喘息の薬について
気管支拡張剤
テオフィリン製剤は、むかつき、手の震え、動悸、不整脈などの副作用があります。
β刺激薬は、動悸、手の震えなどの副作用があります。
ステロイドホルモン剤
ステロイドホルモン剤は、内服や点滴で長期間継続して使用した場合、感染症、糖尿病、胃潰瘍、骨粗鬆症、高脂血症、不眠症、顔面の腫れといった様々な副作用が現れます。吸入剤として使用した場合は、吸入後にうがいをすると、口内炎や声のかすれなど、副作用を軽度の抑えることができます。
抗アレルギー剤
抗アレルギー剤には様々な種類がありますが、吸入ステロイド剤と比べると効果は落ちます。主に軽症の患者様の治療に適用されます。
抗IgE抗体
抗igR抗体は、様々なアレルギー反応に関連性の高いIgEというタンパク質の働きを抑制る薬です。主に通常の治療では改善が困難な、重症の患者様に適用されます。
妊娠・出産で喘息は悪化する?
元々喘息の方が妊娠した際、その後の喘息の症状を調べると、「改善した」「変わらない」「悪化した」の3項目はそれぞれ同程度の割合となっています。悪化した方には、妊娠中に薬物を使用することに不安を感じ、独自の判断で薬を中止してしまっている場合が多いです。ただし、適切な喘息管理が行われれば、妊娠そのもので症状が悪化することはあまり多くありません。
妊娠中でも自己判断で薬を中止することなく、主治医の判断に従って適切な喘息管理を行うことが大切です。